Saturday,December 07, 2024

第2回日本宿泊ダボス会議 
1、政府の考え

第2回日本宿泊ダボス会議 開催! 報告REPORT

2017年4月24日(月)に「第2回 日本宿泊ダボス会議」が、衆議院第一議員会館の多目的ホールにて開催をいたしました。
第2回はカンファレンスをメインとした内容で、密度の濃い話が繰り広げられ、総勢239名様にご参加をいただきました。
いくつの章にわけて、内容の一部をご紹介いたします。第1弾は「政府の考え」。

開催詳細はこちら

西海重和氏

【開会の辞:政府の考え方】

2017年が新の宿泊業元年である

国土交通省
藤井 比早之政務官

 訪日外国人数が順調に伸び2404万人、鉄鋼製品の輸出額を超えて、国際旅行収支も黒字化。観光を地方創生の柱とし、観光立国の実現を官民一丸となり推進したい。宿泊産業は生産性の低さや、労働力不足が深刻な課題となっている。
 宿泊業の改革に、今後しっかり取り組み、違法民泊を放置しないルールを定め、健全化・適正化を図る。地域限定通訳案内士の認定など、地域発の体験型の観光を推進できる施策や、古民家など歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進。観光万博への立候補など、様々なプロモーションと規制緩和など、インバウンド需要拡大に伴う対応をしっかりと行いたい。

中島武氏

【地方創生:政府の考え方】

地方創生における宿泊施設の役割~なぜ地方創生が脚光を浴びているかも含めて~

内閣府地方創生推進事務局
安藤 毅参事官補佐

 地方創生における観光産業の位置づけは、とても重要となっており、国家戦略特区制度を活用した観光振興は、アベノミクス3本の矢の一つである、規制改革として提案され、現在は合計10区域が指定されている。
 特区民泊概要では、滞在施設の旅館業法の適用除外とするなど、自治体や事業者からの規制緩和の要望に、以下のように対応している。

  • 利用促進…最低宿泊・利用日数の引き下げ(2泊3日)。
  • 安全確保…消防法への対応(火災報知機の設置、言語対応した避難経路の説明など)
  • 近隣住民への配慮…ごみ箱の設置や、騒音への配慮の案内など。
  • 利用促進に向けた連携…旅館組合所属のホテルと業務提携し、鍵の受け渡しと本人確認を対面で実施。大学との連携など観光需要にとらわれない利用方法を模索中。
  • 広報普及…
    • ・消防用設備等の設置基準の適用除外条件を例示し、明確化するなど判断基準を分かりやすくした。
    • ・「重要事項説明の義務化」が不要ということを広く説明。
    • ・地方自治体が認定した古民家への旅館業法の適用を除外。
    • ・消防庁と連携し、適用除外事例を共有、全国的なルールの明確化を実施。
    • ・建築基準法の適用除外

などの施策が緊喫の課題であると考えている。
ぜひ官民一体の協力体制のもと上記施策を行っていきたい。

河野貴輝氏

【宿泊産業:政府の考え方】

宿泊業のマーケティングを妨害しない旅館業法の改正の方向性とスケジュール感/民泊新法の成立と影響イメージ

観光庁 観光産業課西海 重和課長
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財団法人 宿泊施設活性化機構伊藤 泰斗事務局長

 訪日外国人の急増により、客室稼働率も高くなっている現状を受け、宿泊施設の供給対策について、空室情報の共有・公開や、容積率の緩和も初めて実施、簡易宿所の客室面積基準の見直しなどで対応している。
 住宅宿泊事業者にかかる制度としては、現状を把握するため都道府県知事への届出など、匿名性の排除を図り、住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置を義務付けるため、以下のような取り組みを行っている。

  • 安全・衛生面の確保
  • 近隣トラブルの防止(管理不全の防止)
  • 違法な無登録仲介業者の排除(合法民泊の認定・明示)
  • 住宅宿泊仲介業者(空き家を民泊利用する際)に係る制度など
  • これらの制度を利用することで、日本の中でいかに民泊を受けいれていけるかがテーマ。

《質疑応答》

Q.地方の昔作った宿泊施設の老朽化が深刻だが、資金繰りが難しい旅館やペンションへの法整備や支援体制は?

A.観光産業革新検討会にて、投資や資金繰りの問題について検討しており、人材が重要と認識している。全旅連の中で銀行、地域経済活性化支援機構に働きかけ、再生に関わった方々の協力を得て、地方の既存施設を再生したい。訪日外国人の受け入れ、生産性の向上が重要。業界としては、IOT活用などにより賃金の向上を目指し、様々なことを組み合わせて対応していく。来年度以降の政策にも反映させていく。

Q.民泊制限の180日制限は有効なのか?オーナーは守るのかが疑問だが、どうか。

A.日本社会で受け入れてもらうための規制なので、厳格に実施したい。官公庁提供の、電子化された宿泊者名簿の作成を推進することで、実態把握に努める。利用者、仲介業者にも利用状況の報告を求めて照合し、紐づけしたデータでクロスチェックを行う予定。
他国の事例を参考に、実施する。

Q.クロスボーダーのOTAの台頭により、民泊において日本の法律が及ばない危険性があるが、どのように規制し合法化に向けていくのか?

A.一つは規制。合法的な施設の明示と、相談窓口の強化。合法業者の団体の創設を推進するなどで、違法業者に対して官民連携して対応していきたい。

Q.元Booking.com 日本代表の回答)Booking.comは非合法の業者とはビジネスをしないし、今後もスタンスを崩さない。観光データをどう使うかが、Booking.comの強みだが、日本としては、どのようにビッグデータを取り利用し、トラッキングを活用していくのか?

A.試験的な取り組みが始まったところ。対外的にプロモーションを実施したいと考えているため、民間の持っているビッグデータを活用させていただき、連携して進めていきたい。


次回は、「ベストプラクティスのナレッジシェア(好適事例の情報共有)」の一部を公開。
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※Google株式会社 陳内 裕樹 観光立国推進部長の講演内容につきましては、Google株式会社との契約により一切の公開が禁じられておりますので、予めご了承ください。