JALF Opening Conference & Receptionイベント報告会
2016年4月14日(木)に「JALF Opening Conference & Reception」と銘打って、宿泊施設のダボス会議を開催いたしました。
観光庁 観光産業課長
西海 重和氏
政府における訪日外国人目標を2020年4000万人に倍増~魅力的な観光立国になるために~
直接的方策として考えられる施策は、VISA緩和、免税店の充実、出入国管理体制および航空体制の拡大、文化財の公開などである。
またそれに付随して間接的施策が必要と考えており、
- 訪日外国人へのサポート体制の充実(通訳、他言語対応の充実、ストレスフリーな観光ができるようなサービス(荷物預かりサービスなど)の充実化)
- 法的な規制緩和(民泊などの活用)+官民一体のファンドによる金融面での支援
- 地方への訪日外国人の回遊を増やす
- 日本人の国内旅行消費額を増やす
などの施策が緊喫の課題であると考えている。
ぜひ官民一体の協力体制のもと上記施策を行っていきたい。
株式会社際コーポレーション 代表取締役
中島 武氏
どうやってレストランを流行らせ、黒字化し、宿泊業に展開してきたか
レストランを流行らせるには料理人の世界の独特な固定概念を壊すことが重要である。
抵抗があってもやり続けた結果、マスメディアやリピーター等、反響が出てくるとともに料理人の意識が次第に変わってくる。
ここを上手く自らが目指す方向に導いていくことが大切である。そのほか、常に市場や農場、漁場に接することで自分の作る料理への愛着を生ませることや、日本の伝統から帰結される『料理作りの必然性』を料理人に意識させることなどを通じ、きちんとした運営を行うことができればレストランとして成功することができると思っている。
非常に難しいことではあるが、レストランの運営と宿泊施設の運営は非連続のものではなく連続的なものと捉え、『柚子屋旅館』の経営では、とくに、箱物というハードの意識ではなく、料理など宿泊施設の中にあるソフト(コンテンツ)の発想から宿泊施設運営を行うことを心がけている。
ティーケーピー株式会社 代表取締役
河野 貴輝氏
貸し会議室の運営からみたインバウンド需要
貸し会議室の提供から事業をスタートさせ、いまではホテル併設型の会議場、宴会場、研修施設など、ホテル旅館との連携で事業を進めている。
ビジネス戦略上の強みは、綺麗でホテルライクな利用ができる会議室・宴会場というところだが、これは一般企業の会議・宴会需要を地道な営業で取り込んで行った結果として成し得たことである。ホテル旅館との緊密な協力連携も押さえていると自負している。
一般企業の会議・宴会需要にとってなくてはならない存在になることが戦略上大切であると考える。
インバウンドを考えると、東京の持つアジアのハブとしての潜在性は有望であり、コンベンションセンターなどに関与することも魅力的ではあるが、MICE営業力はまだ伴なっていないため積極的な進出には躊躇している。
リゾートトラスト株式会社 代表取締役
伊藤 勝康氏
会員制リゾートの展開のコンセプト
会員の平均年齢やニーズがどんどん変わってきていることを肌身で感じている。
これまでは50-60代の方が子供世帯と一緒に宿泊する、というのが主流であったが、いまは平均年齢が60代半ばに上がってきており、また夫婦のみでの使用が増えてきている。
このように、年代の変化や利用のされ方の変化を強く感じているところであり、それにより施設の利用形態も変わってきている。
会員制のリゾートは利益率が低い業界であるが、一方でリピート率が高いという特色がある。常にユーザーのニーズの変化に向き合いながら経営することで、長期的で持続可能な成長が可能になると考えている。
また今後は、現会員の子供世代が中心になってくる時期であり、ネット世代でもあることから、ニーズの変化がさらに急激なものになると考える。
将来的にも質の維持を心がけることで、現在のリピート率の高さを維持することを目指していく。
ジョーンズ ラング ラサールホテルズ&ホスピタリティグループ マネージングディレクター
沢柳 知彦氏
民泊が注目される理由
イベント民泊、ホームステイ型民泊、無人運営型民泊など、さまざまな民泊の利用形態があるが、現在は通常の賃貸より儲かるという理由で、事業者が投資的な観点から無人運営型で民泊に取り組んでいる状況が目立っている。
それにもかかわらず、法的規制での位置付けがあいまいなため、以下の3つの視点をベースに、既存施設とのフェアな競争環境を意識しながら、民泊の法的位置付けの明確化が望まれる。・安全、衛生/・治安/・地域住民の生活への配慮
既存ホテル旅館業界からの反発などが予想され調整が難しくなると考えるが、インバウンドの増加によりさらなる宿泊施設の受け皿が必要であることは明白であり、海外の事例も参照に入れるなど、どのような規制を敷くべきかを官民一体となって検討すべきと考えている。
株式会社日本ホテルアプレイザル 代表取締役
北村 剛史氏
品質認証の重要性
日本ではまだまだホテルの格付けであるアプレイザルに対する認識が薄い。
しかしながら、ユーザーにアンケートをとると、ホテル旅館に対する品質認証の重要性は非常に高いことがわかる。
ユーザーとホテル間に情報の非対称性が厳に存在している以上、そこを埋め合わせる存在としての品質認証機関は非常は大事だと認識している。
とくにユーザーにとってニーズのある情報は、衛生状態やスタッフの接客態度などでユーザーが宿泊前に知りたいことはたくさんある。
またそこで収集したデータをもとにそれをホテル旅館にフィードバックする重要性も常に感じている。
今後は、さまざまな地域情報などのPRを含めた総合的な情報センター機能を担いたいと考えている。
第1回 JALF-Award 「宿泊施設未来大賞」 受賞記念講演
変なホテルハウステンボス 専務取締役
髙木 潔氏
究極の生産性の実現に向けて
- 1.世界中で展開可能な工法を実験
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- 輸送に適したモジュール 12フィートコンテナに入る簡易構造物
- 住宅ベースなので2-3階まで
- 工期6ヶ月で完成 人件費も圧縮
- 2.ロボットサービスの実験
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- 顔認証、顔認識 カギを気にしなくてよい快適さ
- テーマパークのホテルなので、楽しませることも必要 無味乾燥はNGとした
- 建築とロボットの融合 精度の違いを調整
- 客室内会話担当ロボットと視覚解決タブレット連動
- 3.敷地状況に柔軟に対応する自然エネルギーを実験
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- 輻射冷暖房システムで、通常のこの規模のホテルのエネルギーを30%節減
- テレビ、冷蔵庫、ドライヤーナシ。足るを知るのも一つの実験。
第1回 JALF-Award 「レベニューマネジメント賞」 受賞記念講演
APAホテルアパグループ 代表取締役
元谷 一志氏
APAホテルのレベニューマネジメントの基本的な考え方
ホテル旅館にとっていまやレベニューマネジメントの導入は不可欠である。宿泊者の行動履歴データや季節需要データなどを収集し、それにより売上最大化、需要の最大限の取り込みを可能にする。
これはホテル旅館の収益力の増強につながり、ホテル旅館業界の魅力を高め、潜在力ある優秀な労働力の確保につなげることができる。
またアパホテルの今後の方向性として、ホテルはお客様の厳しい視線で磨かれていくという認識のもと、『環境対応、高機能、高品質』の3つのコンセプトをベースに日本初の新都市型ホテルを日本から世界にむけてNYに実験的にオープンする予定である。
このような新しい取り組みを通じて、今後も日本のホテル業界を積極的に牽引していきたいと考えている。
前内閣府副大臣
平 将明氏
宿泊産業に必要な戦略性について
国家戦略特区、宇宙政策、IT政策、地方創生などを様々な取り組みを行ってきたが一番力を入れてきたのは、国家戦略特区と地方創生である。
第3の矢としての成長戦略では、必要なファクターは
・TPP、・インバウンド、・東京オリンピック・パラリンピック投資 の3つである。
これによりGDPを500兆円から600兆円に増加させることを目標にしている。
この中で一番の目玉はインバウンドであると考えており、シェアリングエコノミーの上手な取り込みをもとに、インフラであるネットマッチングのリソースを利用しながら、ヒト、モノ、場所をうまく活用してもらうことに視点を置いていこうと思っている。
また上記施策を講じるにあたり、人手不足も重要な課題であるため、業界カテゴリーごとに外国人の受け入れを可能にする施策が重要と考えている(シェフの受け入れ緩和、フロアマネジャー、スタッフの受け入れ、ホテルの接客受け入れなど)。
いずれにしても、大目標をクリアすべく官民一体となって協力し合う必要がある。
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