Wednesday,December 04, 2024
宿泊施設には無償広報が有効
現在の宿泊施設において必要なナレッジを対談形式で語っていく連載。連載第20回目は、ソラーレホテルズにおいて広報集客マーケティング担当としてご活躍されていた善財義之氏に、宿泊施設に対する認知手法(広報広告宣伝)の考え方について対談しました。
- ソラーレはかなりプレスリリースによる露出に力を入れてこられましたが?
- 宿泊施設に一番効果的な認知手法はメディアによる記事であると確信しています。ソラーレの沖縄地区においては年間144本以上のプレスリリースを隔週で発信しており、一定のメディアに掲載をいただいていると認識しております。プレスリリースによる媒体露出は、メディアによるスクリーニングがかかっているため客観的なものであり、情報の受け手における信頼性は比較的高いと考えられます。ここにプレスリリースの大きな意義が見られます。
- 「有償広告」についてはどう考えればよいですか?
- 宿泊施設の認知手法としては「有償広告」と「無償広報」に大別されます。有償広告はいわゆるメディアの広告枠を購入し、宿泊施設サイドの自画自賛的な広告稿を印刷してもらうものです。有償広告の亜流としては、記事稿と呼ばれる提灯記事をメディアに起稿してもらうものと、口コミサイトに対する返信権利を有償にて購入するタイプがあり、これらについては相対的に安価なことと純粋広告ではないように見せられるため、比較的有効な手段であると受け止めています。しかし原則論としては、宿泊施設が持つ広いターゲット(宿泊・料飲・婚礼・宴会)に対して総合的な認知を促す有償広告宣伝額は莫大なものになるため、宿泊施設と有償広告宣伝は基本的には効率性の面から相容れないと考えています。
- 本当に有用な「無償広報」のために必要なことは?
- 無償広報はメディアへの記事掲載を目的としたプレスリリースと、今や重要な情報伝達経路となったFacebook等のSNSへの自社発信【能動的掲出】とお客様に発信してもらう【受動的掲出】、の2つに分けられます。両者の共通点は、既述の通り信頼性が高いことです。しかしより重要なことは「どんな内容の企画・イベントを広報するか」により掲出発信される量は変わります。プレスリリースが掲出されるために本当に必要なことは、よく練られた高品質の企画・イベントを実施することであり、そのため企画と広報は兼務することが重要であると考えています。