Saturday,November 18, 2017

第1回 「社長」と「総支配人」は真逆の職掌(PDCA サイクルの観点から)

本連載は、たくさんのホテルにおいて業績改善を手がけさせていただいた際に発見した、日本のホテルに共通した課題を示唆していく新連載です。困った時の観点としてお役に立てれば幸いです。

現在必要となった「実施した施策の検証」がPDCA サイクル

PDCA サイクルとは

Plan:
施策を計画し、
Do:
実際にやってみて、
Check:
結果を取得し、
Action:
それを検証して何が良かったか悪かったかを考え、
Plan:
また新しい計画を立てる

という、企業活動では当たり前の活動のことです。

  • 検証結果は定量的に捕捉しないと、施策を実施した結果どう変化したか、わかりません。
  • 宿泊業界では、このPDCA サイクルの形成が軽んじられており、これが宿泊業界の業績悪化の主因であると考えられます。
検証結果を定性把握

「実施した施策の検証」は、昔は必要なかった → 現在必要になった理由は外部環境の変化

外部環境の変化
宿泊旅行統計調査

  • ホテルの客室数供給の顕著な伸びに比べ、国内宿泊旅行需要は堅調な推移にとどまっています。
  • そのため需給バランスが崩れる傾向にあります。
  • 経済原理に基づき、客室供給は再び急速な伸びを見せています。

PDCA サイクルを廻さない状態とは?

PDCAサイクルを廻さない状態とは?

ホテルでPDCA サイクルを回す際の問題点「社長と総支配人のPDCA サイクルは違います」

【社長】PDCA サイクル

中長期視点で職務執行すべき

ハードや内装投資など一度決定したことはそう簡単に変えられず、考え抜いた末に極めて慎重に着手を検討すべき職務分掌が「社長」

社長-PDCAサイクル

充分検討した後に成功を前提に着手しているから結果検証は特に必要なし

【総支配人】PDCA サイクル

短期的視点で職務執行すべき

デイリーオペレーションが主体で朝令暮改が容易なため、とにかく着手して反応を見る姿勢が必要な職務分掌が「総支配人」

総支配人-PDCAサイクル

慎重な検討をせずに着手しているため、徹底的な定量的結果検証/分析が必要

PDCA サイクルが廻っているかどうかはこのチェックシートで確認

社内で「PDCAサイクルを廻す」という認識自体がありますか?
社内業務フローのチェック
  1. Pに当たるフローの段階は存在していますか? 同様にCとAは?
  2. どの部門の誰が、Pの責任者ですか? 同様にCとAは?
C(Check:検証)が機能していますか?
C(Check:検証)についてのヒアリング
  1. Cの結果がまとめられていると思われる帳票類を全て収集
  2. どのような分析が行われて算出された結果なのかをヒアリング

→計算式(数式)についても詳細の提示を要請

A(Action:改善)に反映されていますか?
A(Action:改善)についてのヒアリング
  1. 分析に基づいて出された戦略又は方向性をヒアリング
  2. その手段・方法の具体策をヒアリング

解法

こういった点に留意してPDCA サイクルを廻そう

  • 「決断の障壁」こそが「PDCAサイクルの阻害要因」誰もが性質として持つ「決めるということへの心理的障壁」を認識したうえで、「決断」する(させる)必要があります。
  • 経営幹部の責任の本質的所在を追求
    「社長」と「総支配人」の職務分掌が異なることを認識したうえで、社長は総支配人の業務執行を側面支援する必要があります。
    1. 社長は、総支配人が気軽に業務着手することについては一切責めないでください。
    2. その結果の取得、分析、判断がなされていないことに対しては、徹底的に責任を追及する必要があります。