Monday,October 14, 2024
宿泊施設は、なぜ社会的に非力なのか。
現在の宿泊施設において必要なナレッジを対談形式で語っていく連載。
連載第3回目は、宿泊業界における社会的な位置づけについて、政治家からの視点を伺ってみました。
- 宿泊業界は政治家からどう見られている?
- 現在は公職から離れているため言えますが、正直、政治的に重要視されていない業界です。宿泊業界とレストラン業界を足しても国民総生産(GDP)の1.5%程度のシェアしかありませんから、国として対応が後回しになっているのが現実です。
- とはいえ労働人口の10人に1人、事業所の7社に1社を抱える巨大業界だと思いますが?
- おっしゃる通り、政治家にとって票田は生命線です。しかし、宿泊業界は一致団結した業界団体が存在しないため、政治的圧力が充分にかけられない状況にあります。
一方、オールドエコノミー業界(電力、自動車など)は、一致団結した業界団体から複数の国会議員を輩出し、自業界に有利な立法や行政解釈の誘導を試行錯誤しています。
- それでは宿泊業界はこのまま政治家の協力は得られないのでしょうか?
- 戦後の国会議員のなかで、延べ200名程度の宿泊施設に関係している人(オーナー一族であったり勤務履歴があったり)がいると言われています。まずはそこへ接触し協力を要請するとよいでしょう。
- 宿泊産業がすべき要望はどのようなものがあるのでしょうか?
- 国際観光ホテル整備法、旅館業法、旅行業法、放送法(NHK 受信料)、消防法、建築基準法、耐震改修促進法、電気事業法(インバウンド対応マルチ電源コンセント)、労働関連法制などについては、業界的整合性が担保され、かつ国益に合致するように適正化する法令改正要望を出す必要があるのではないでしょうか。
- 観光庁予算も180億円を突破し約2倍となるなど国も本腰を入れているのでは?
- 日本は1時間に60億円の勢いで借金が増えています。その環境下では180億円など大した額ではありません。本気でインバウンドを増やそうとするならば、国土全土のWi-Fi無料化や表示の多国言語化など、世界的に見ても最低限必要なインフラ整備を国家主導で実施する必要があると思います。