Thursday,October 28, 2021

品質認証は、なぜ必要か。

連載第2回目以降は、現在の宿泊施設において必要なナレッジについて、宿泊業界のキーパーソンと対談形式で語っていきたいと考えています。

品質認証は、なぜ必要か。

なぜ宿泊施設において『品質認証』が必要だと認識するに至った?
宿泊施設の不動産鑑定評価をしている過程で、「宿泊施設など商業用不動産の適正な経済価値を鑑定評価するためには、周辺比較法に基づく土地建物価値ではなく、「サービスを主体とした運営」からの収益に基づく収益還元法から鑑定評価しなければならない」という視点に至りました。しかし、「サービスを主体とした運営」の評価は現在においては評価手法が確立していないため、ホテル不動産の評価はある意味、あいまいで恣意的なものでした。将来収益をより高確度で予測するためにも、「サービスを主体とした運営」の評価がなされる必要があると考えます。この「サービスを主体とした運営」の評価が『品質認証』と呼ばれるものの基礎概念です。
『品質認証』は誰がために?
第一義的には、訪日外客のために日本の宿泊施設をわかりやすく明示するためという、訪日外客ゲストの視点が重要です。加えて、前述の通り、鑑定評価の視点から必要性が認められ、さらに日本人ゲストにとっても、リゾートホテルやシティホテル、旅館など自腹プライベート利用者が主体の宿泊施設については、『品質認証』が不可欠と認識されているとの視点が、統計調査から示されています。
では日本人が求める『品質認証』とはどのようなもの?
アンケート調査を実施した結果、日本人ゲストとして求める要件は以下の通りでした。

  • 1位「客室の快適性」
  • 2位「費用対効果」
  • 3位「清掃力・維持管理力・清潔感」
  • 4位「スタッフのサービス力等人的要素」
  • 5位「客室の機能性」
  • 6位「ホテル提供サービスの質と量」
  • 7位「安全性・安心感」
  • 8位「環境・景観」 他

上記から、日本人は建物設備内装などのハードウェア要素よりも、サービスなどのソフトウェアやヒューマンウェア要素を欧米人よりも重要視することが判明しています。よって評価項目も、その要望に対応した内容を取り入れる必要があると考えています。

『品質認証』においてホテルと旅館では評価項目が異なりますか?
どちらも宿泊施設という点で、ベースの基準は同一です。ただし評価項目に関しては、大浴場の有無など業種業態により一部異なるものもございます。また「サービスを主体とした運営」評価に重点を置いた『品質認証』においては、「料理の部屋出し」や「玄関番下足番」などホテルよりも接客サービスメニューが多い旅館の評点が相対的に高くなります。そのため「サービスを主体とした運営」評価に重点を置いた『品質認証』を実施すると旅館がホテルより有利な立場に変化するため、「「サービスを主体とした運営」評価に重点を置いた『品質認証』を実施することが旅館にとって特に訪日外客の誘導に都合が良い」という結論になります。