Wednesday,December 04, 2024
ブランドは布教活動の成果
現在の宿泊施設において必要なナレッジを対談形式で語っていく連載。連載第21回目は、短期間でブランディングに成功されたザ・ジョージアンクラブの吉村隆郎オーナーと、ブランドの構築について対談しました。
- 原点だと言われるゴキブリ理論とは?
- 「ゴキブリが1匹居れば、その近くに50匹は居る」を合言葉に、どんな趣味嗜好でも、同好の志が50人くらいはいると信じています。私の英国紳士趣味も相当なものですが、これに賛同してくれる人が50人くらいいれば、ITがまだ普及してなかった当時においてもレストラン経営は成り立ちうると考えたのが最初です。
- その「ブランディング」は宗教の「布教活動」に相当?
- はい。お店の考え方である「ミッション」を、発案者キリストがいて、それに心酔する直弟子(12使徒)がいて、その孫弟子として伝道師や宣教師がいるという構造で「布教活動」しようと考えました。実際、ほとんどのゲストが「複数回リピーター」か「新規リピーター(複数回リピーターからのご紹介)」でしたので、この考え方はあながち間違っていないと思っています。
- コンセプト(ウリ)が鮮やかさを失わないようにするには?
- ブランドを支える条件のうち、特に「ブレないこと」を私は重要視しています。あるコンセプトAがあれば、外観も内装も什器備品も機能も人的サービスも全てそのコンセプトAに整合的でなければ、強いブランド発信力を失ってしまうと考えています。例えていうなら、あるコンセプトAで基本的に全てが作られているにも関わらず、オーナーの趣味で一部にコンセプトBを入れたり、オペレーターのガイドラインにより一部の機能やサービスにコンセプトCが混ざったりすると、鮮やかな赤の絵の具と、鮮やかな青の絵の具と、鮮やかな緑の絵の具が混ざると灰色になってしまうのと同じように、急に輝きを失ってしまうのです。ザ・ジョージアンクラブが短期的なブランド構築に成功したと言われるのであれば、それは外観も内装も什器備品も機能も人的サービスも全て「吉村の想い」という統一的なコンセプトに整合的に作られたため、わかりやすかったからではないでしょうか。