Thursday,December 05, 2024
宿泊施設は、なぜ女性を活用しないのか。
現在の宿泊施設において必要なナレッジを対談形式で語る連載。連載第4回目は、当財団法人の理事(女性活用推進総括)である塩村文夏氏に、宿泊業界と女性活用についてお話を伺いました。
- 宿泊業界と女性活用はどのような関係がある?
- 宿泊業界においては、管理職層以上に、ほとんど女性がいらっしゃいません。これは、宿泊施設の収益性、労働者の活用効率に、マイナスだと考えています。
- 具体的な女性の活用とは何を指しているのでしょうか?
- 日本のホテルには、外資系に比べて右脳的(感情的・感覚的)なマーケティングが欠けていると思います。これは、幹部に左脳的(定量的・数値的)感覚の強い男性が多く、右脳的な考え方が受け入れられないためではないかと考えられます。
ここに女性の右脳的感覚を投入すること、より正確に言うと女性活用だけではなくもっと多様性を持った「おもてなし(イベント企画やプランなどのマーケティング)」が必要ではないかと思っています。
理由は簡単で、今まで対象から外れていたゲストの来館も視野に入れないと、人口が毎年50万人ずつ減少していく日本においては、ビジネスが難しくなっていくと思うのです。
- 労働人口減少への対応にも?
- はい、現在約6600万人いる労働人口は、このままいけば2060年には3700万人前後になります。この労働人口急減に、社会構造の変革が追い付けないと言われています。この急減した労働人口は、女性の社会的活用によって約600万人相当を補うほかないのではないでしょうか。
- 女性活用の本質的な目的は?
- 女性活用は実は女性のためというより、ビジネスの改善のため、言い換えれば現在宿泊施設の業績を主導している男性社長のためにオススメなのです。
女性活用により右脳的マーケティングが強化されるとともに、減少するホテル勤労者が女性によって補完されるという、これからの宿泊業界には欠かせない効用があると思います。
- ところで政治においての女性の立ち位置はどんな感じですか?
- 政治家には定年もなく一般企業と比べて平均年齢も高いため保守的であり、その中でマイノリティである女性議員は窮屈な立ち位置です。実際にセクハラはおろか、多様性すら認めていないことが都議会ヤジ事件で露呈されました。これでは男女限らず政治家が国民から信頼されるはずもありません。このまま低投票率が続くと、議員が国民の代表だと思われなくなってしまいますので、ここが古い体質を改善すべき女性議員の頑張りどころです。